信頼感の大切さ

 コンサルティングの仕事をやっていて、よく感じることは、工務店、設計士と施主との信頼感がいかに大切なことが身にしみて感じます。
 ついこの間でも、裁判をやっている工務店から、施主からこのような反論がきましたという文面を渡されました。施主が、できあがった建物を調査して瑕疵であると思われる項目がいくつか列挙されており、これらの要因により、代金を支払うことができないというものです。

 その内容を見るとなるほど、壁が傾いているとか、壁にひび割れがあるとか、いろいろ書かれています。傾いている寸法は、なるほど、通常に定められている寸法を超えています。確かに瑕疵と言えるのかもしれませんが、それを使用するにあたり、何も問題はありません。強度的にも安全性にも問題はありません。
 いろいろと考えさせられるのですが、これは、壁が傾いているのが理由で代金を払わないというものではないと思います。本当は、その他にもいろいろな対応のまずさがあって、不信感が募り、代金を払いたくないといのが本音かと思います。
 
 問題は、壁が傾いた原因、安全性の検証も大事なのですが、それ以前に、なぜ、不信感を抱かれるようになったのかということだと思います。逆に言えば、しっかりした信頼感さえお互いにあれば、そのような瑕疵調査など無いのではとも思います。瑕疵調査とは、お互いの欠陥、欠点を指摘するようなものであり、本来、あってはならないものだと思います。

 それでは、どうしたらお互いの信頼感というのができるのでしょうか。これは、建築界に限らず、どの世界でも共通して言えることだと思いますが、まずは、きちんと報告する事だと思います。何か事を行えば、その結果どうだったのか、簡単なことであれば、電話一本する、メールを一行書くだけでもいいのです。さらに大切なことであれば、きちんとした正確な報告書を迅速に提出する。
 そして、頼まれ事があれば、迅速に確実に処理をする。そして、その報告をする。また、打合せしたことなどがあれば、必ず、メモをとり、そのメモの内容を確認し合う。たとえ、些細な事であっても、それを積み重ねていけば、大きな信頼になると思います。この繰り返しが大切かと思います。

 物を頼んでも、どうなっているのか解からない、報告が遅い、約束したことを忘れる、間違える、約束を守らない、これでは、信頼感を得るどころか、不信感ばかり募り、お互いの欠点を指摘し合うということになってしまいます。こうなるとでき上がったものは、ロクなものではありませんね。逆に言えば、信頼感があれば良いものができるといことです。
 くれぐれも、仕事をやる前の心構えとして、お互いの信頼感を高めるためにはどうするのかをしっかりと肝に銘じてから仕事をするということが、非常に大事と思います。



耐震診断の調査に行ってきました

 この間は、神戸市からの依頼で木造住宅の耐震診断の調査に行ってきました。この建物は、築40年のかなり古い建物です。最初に住人の方へ耐震診断とはこんな感じのものですよと、30分ほど説明してから、調査を行います。事前に図面があるかないかを聞くのですが、もし、無い場合には図面をかきながらの調査です。

 まず、外廻りから見ていきます。外壁にひび割れがないか、樋が外れていないか、軒先は腐っていないか、などを見ていきます。その後、内部に入って、床にへこみ、傾きはないか、柱は真っ直ぐに立っているか、建具の開閉状況はどうか、雨漏りはしていないかなどを見ます。そして、最後に天井裏と床下を見ます。

 やはり、築40年ともなると悪いところは、たくさんあります。外壁には、大きなひび割れがあります。軒先も腐っています。柱は傾いているし、あちこち、床がぶよぶよして、床鳴りもします。今回は、特に、床下の基礎についてです。床下にもぐってみて、最も、ショックだったのが、間仕切り壁の下がブロック積みであったということです。

   IMG_0066.jpg ブロック積の基礎

 昔だからしかたがないのですが、力が多くかかる柱の下がコンクリートではなく、簡単なブロック積みなのです。本来、基礎というのは、屋根、壁、床、それに載っている物の重量が梁、柱、土台と伝わり、最後に基礎で、しっかりと支えて、それを地盤へと伝えるものでなければなりません。それなのにブロック基礎となると、地震などが来て、大きな力が加わった時に壊れてしまいます。基礎が壊れたら、必然的に建物全体が壊れてしまいます。

  
   IMGP6031.jpg 全体に敷き詰められた鉄筋

   IMGP6301.jpg 最近の基礎全景。

 阪神大震災では、こうした華奢なつくりの基礎が原因で多くの建物が倒壊しました。それと比べると今の基礎は、ほんとにしっかりとしています。地盤が少しでも悪ければ、地盤改良して、その上に不同沈下しないように全体に鉄筋を敷いて、コンクリートを打設し、柱・壁の下には、立ち上がりの鉄筋コンクリート基礎をつくります。最近の基礎を見て見てもらえれば、その違いはよく解りますが、安心感も全然違います。基礎は、ほんとに強いことが一番大切と思います。



今年の内覧会同行を振り返って

 本年度のマンション内覧会も終わりました。今年も多くのマンションに行きましたが、ここで、内覧会について、振り返ってみます。今回、考える事は、本当にマンションの内覧会に建築士が同行する必要性があるのかということです。
 
 ほんの一部のマンションを除いて、非常に良くできていましたが、そのほんの一部のマンションというのが問題でした。購入されたお客様には申し訳ない言い方ですが、正直、ひどかった。まずは、内覧会に行ったときに完全に工事が終わっていなかったということです。これが、まずは、大きな問題です。何とか引渡しに間に合わそうとお客様をその部屋を見てもらえるような状態になっているものの、ぱっと見はできているように見えのですが、じっくりと見ると、あれではいけません。
 天井、壁のクロスは、汚れ、キズ、隙間だらけ、シワもある。窓廻りのコーキングも打設できていない、ガラスも埃だらけ、違う色の洗面台が付いている。わずか、60㎡ほどの部屋にもかかわらず、ざっと見ただけで200箇所以上もの指摘があります。私がチェックするだけで一日で終わらず、二日に渡りました。指摘したところを再度、チェックするとさらに50箇所以上もの指摘が出る。二日で250箇所以上。

 これを素人だけで指摘して下さい、それも1時間程度でと言われても、これは不可能です。これは、欠陥商品だけど、買って下さいという話です。幸い、構造とか、設備とか契約、生活に支障のあるものは無く、何とか、補修だけで引渡しまでできたようですが、これでは、購入する側にしてみれば、不安になりますよね。何も解からない素人でしたら、解約しますと言ってもおかしくない話です。また、気になる事は、今回はたまたま私がチェックしたから、何とか納まったのですが、もし、素人でそれもすることなく、そのまま入居して、全く気づかないまま、生活されたらそれでいいのですが、入居してから気が付いて、クレームとなると非常にややこしいことなるのです。
 こうなった原因はいろいろあるのですが、こうなると、この一部となるマンションに当たってしまった時、本当に購入しても大丈夫か、不安を払拭するため、クレームを回避するには、やはり、第三者のチェックが必要であるということです。

 でも、最近の建物は、ほとんどが本当に美しく、しっかりとできていると思います。ある意味、我々のような第三者が入るということが常識のようになっているから、受け入れ側もしっかりとチェック体制ができているようです。本来なら、第三者のチェックなど必要無いというのが一番いいのでしょうが、そうなるとやっぱり、人間ってすぐに気が緩んできて、どんどん粗悪になっていくのでしょうね。本来、綺麗に美しくできあがっているのが、当たり前です。しかしながら、どの時代にも警察が必要なように、住宅購入の際にも、やはり、第三者(工事監理者)は必要なようです。
プロフィール

安水建築事務所

Author:安水建築事務所
 住まいに安心と安全を。住まいづくりのコンサルタント安水正です。安水建築事務所をやりながら、「あんしん住宅相談室」を主宰しています。

 日頃、やっていることを通して、実際にどのような調査・診断をやっているのか、少しでも皆様の住まいづくりのお役に立てればと心がけて書きたいと思っています。もし、お気づきの事、お聞きになりたいことなどありましたら、コメント、メールをいただければ幸いです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード